2024.11.30微生物酵素で農産物の抗酸化力を高め、高品質に安定的 多収穫メソッド<水分活性レポート③〉
※ お役に立ていただければ…幸いです。
生理生態特性活性化の重要性
・ なぜ…慣行栽培でも、抗酸化物質含量が…高まるのか。
・ その理由は、硝酸態窒素含有量が少ない…ことだけなのか。
「ジオ バンク メソッド」で、抗酸化物質の高い成分が増えるメカニズムを、植物(野菜)の生理学的プロセスから説明を試みた。
植物(野菜)は、ストレスによる生育低下を回復させるために、分子的や生理学的メカニズムを含む一連の対抗メカニズムを活性化させる。
対抗メカニズムとしては、アスコルビン酸(ビタミンC)(ポリ)フェノール類, フラボノイド類, およびトコフェロール(ビタミンE)などの…抗酸化物質や特異的な二次代謝産物(グルコシノレートなど)の、関与した代謝経路を進化させている。
しかも…これらの分子は,人間の健康にも重要である。
分子的や生理学的メカニズムに基づく栽培(メソッド)は…
①生理生態特性に基づいた、アミノ酸によるミネラルの供給サポート
②土壌分析,施肥設計に基づいた、ミネラルの吸収力向上
③微生物酵素処理による土壌団粒の形成、土壌病害菌の抑制/軽減
④水溶性炭水化物の供給による、高品質,高栄養価,多収穫をサポート。
①アミノ酸によるミネラルの供給
化成肥料を用いた慣行栽培では、作物が吸収した無機態窒素と光合成で作った炭水化物を利用してアミノ酸を合成し、タンパク質の合成をします。
「ジオ バンク メソッド」では、炭水化物付き窒素であるアミノ酸を活用するため、タンパク質合成に炭水化物をあまり必要とせず、余剰となった炭水化物を、植物体を強化する植物繊維,根酸,収穫物の栄養(でんぷん,糖,有機酸,抗酸化物質)に利用できるため、病害虫に抵抗できる強い体を持ちながら、高品質に多収穫をサポートできます。
②ミネラルの吸収力向上
ミネラルは、土壌分析によりその過不足を把握し、分析結果に基づき施肥設計を行い、適量を施肥します。
ミネラルは、光合成に必要な元素であり、様々な生化学反応を制御しているため、ミネラルが不足した状態で窒素が効くと作物は軟弱な成長になり、病害虫被害に遭いやすくなるので、ミネラル先行窒素後追いの施肥管理をします。
③微生物処理(土壌団粒の形成、土壌病害菌の抑制/軽減)
太陽熱養生処理は、圃場に中熟堆肥と肥料(NPK,ミネラル)を施肥後、適量の水を与えた上でマルチをかけて、積算温度450~900度を目安に養生処理するものです。
※ 太陽熱養生処理は、下記の効果があります。
・土壌に団粒構造が形成され、作物の根張りが改善し、光合成能力を上げて高品質,多収穫が実現する。
・土壌病害菌と拮抗する有用微生物を土中に増殖させ、病気の発生を防ぐ
・水溶性炭水化物を供給することで地力が向上し、その地力を最大限に活かすことで、高品質,多収穫が実現する
植物の構造と水の重要性
植物は、ストレスで生育低下を回復させるために、分子的や生理学的メカニズムを活性化させる。
メカニズムとして、アスコルビン酸(ビタミンC)(ポリ)フェノール類,フラボノイド類、およびトコフェロール(ビタミンE)などの抗酸化物質(環境保全型農業レポート「No.281 有機と慣行の作物で,抗酸化物質,カドミウム,残留農薬含量に有意差を確認」参照)や,特異的な二次代謝産物(グルコシノレートなど:環境保全型農業レポート「No.229 有機栽培によるグルコシノレートの増加と害虫個体群の変化」などの関与した代謝経路を進化させている。
しかも,これらの分子は,人間の健康にも重要である。
植物野菜は、主に根, 茎, 葉の三つの部分から構成されています。
ほうれん草やトマトの葉は、重量の約80~90%を水が占めています。
水分が少しでも失われると、植物は萎れ…終的には枯れてしまいます。
トマトは、水分の10%を失っただけで…果実が傷みやすくなります。
根から吸収された水は、道管という専用の水路を通じて、上部に運ばれます。
この水の上昇には、以下の力が働きます。
- 根圧:根の細胞が水で膨張し、道管内の水を押し上げる力を生み出します。
- 毛細管現象:道管が細いほど水が上昇する性質です。
- 凝集力:水分子同士の引力が強く、大きな植物でも水が上昇します。
- 蒸散:葉からの水分の蒸発によって道管内の水が引き上げられます。
光合成と水の関係
葉では、光合成が行われ、水はこのプロセスにも欠かせません。
光合成では、太陽のエネルギーを利用して、二酸化炭素と水から有機物の糖を合成します。
の糖は、根から吸収した無機養分と結びつき、植物の栄養の基盤となります。
生成された栄養分は、師管と呼ばれる組織を通じて、全体に運ばれ…成長を促進します。
肥料と水分活性の関係
肥料に含まれる水分は、自由水と結合水に分けられます。
- 自由水:食品成分と結合していない水で、微生物が利用可能な水です。
- 代謝水:
- 結合水:食品成分と結合している水で、微生物は利用できません。
水分活性(Aw)は、食品中の自由水の割合を示す指標であり、数値が小さいほど腐敗しにくくなります。
>純水の水分活性は1.00です。
塩や砂糖を加えることで、自由水が結合水になり、水分活性が低下します。
食品の保存性を高めるには、水分活性を低くし…微生物が利用できる自由水を減少させることが重要です。
結論
水は、植物野菜の成長にとって、不可欠な要素であり…その役割は多岐にわたります。
根からの水の吸収, 光合成での利用, 肥料との関係など、水は…植物の成長と発展にとって重要な存在です。
水分活性の理解は、食品保存や微生物管理においても役立つ知識となります。
植物野菜を健康に育てるためには、適切な水分管理が重要です。